先日のブランドの件でKindleと楽天のkoboについて書きましたけど、ブランドという点で考えるとkoboはKindleに大きく差をつけられてしまった。その要因は色々とあるのですが、一番のポイントというのはどれだけユーザーが読みたいコンテンツを提供できるかどうかということだと思うんですよね。
今朝起きて、RSSリーダーにニュースやブログをチェックしていたら目に入ったのがこちらの記事。
司馬遼太郎作品が本格電子書籍化、Kindleストアで「竜馬がゆく」予約開始
素晴らしい!僕は今朝も早くおきましたが、このニュースで一発で目が覚めました。
すでにAmazonには竜馬がゆくのページが出来ていて
http://www.amazon.co.jp/ryoma
6月の後半からダウンロードが可能になるんだそうです。素晴らしい。
このニュースというのは、どれだけインパクトがあるかというと、今まで読みたい本がなくて買わなかった中高年層がKindleを手に取る可能性が増えたということなんですよね。つまり、電子ブックリーダーで先行していたソニーが全くダメだったのは、我々の中高年のハートを掴めなかったからなんです。それは何故かといえば、読みたい本がないのにわざわざ数千円を払ってハードなど買わないからです。
こういう例はいくらでもあって、ゲーム機が売れないのはやりたいゲームがないからで、そのハードをいくら値下げしても、メインとなるものがないんだったら、売れるわけがないのです。
他には昔ゲーム機戦争があって、それはソニーのプレイステーションとセガのセガサターンが次世代ゲーム機として大変なバトルがありました。プレイステーションがこの時セガサターンに勝てたのは、プレイステーションでファイナルファンタジーができるという事でした。これでプレイステーションは圧倒的に優位になりました。ゲーマーは、プレイステーションがやりたくて買うのではなくて、ファイナルファンタジーがやりたくてプレイステーションを買うということです。当たり前のことですよね。
電子ブックリーダーについても、全く同様でそのハードにFacebookやEvernoteと連動してるんです!と言っても、ユーザーはFacebookやEvernoteを電子ブックリーダーで野郎とは思わない。電子ブックリーダーでやりたいことは本を読むことであり、その本を読むために電子ブックリーダーがどれだけ便利かという機能を追求するべきで、そのためにはユーザーが読みたい本を提供しないから、今までブックリーダーは売れなかった。
いわゆるマーケティング的に見ると、日本発のハードは残念ながらユーザー視線に立ってないことが多いんです。一番わかり易い例がテレビで、ここ数年のテレビってみんな失敗してますよね。3Dにしても、4Kにしても技術視線なんです。つまり、そこにはユーザーが何を望んでいるかということが含まれていない。テレビに関しては、コンテンツがつまらなくなっていて、人々自体がテレビを見なくなっている時に、50万もするものを誰が買うの?ということなんですよね。電子ブックリーダーも同じで、読みたい本がなければそれは書いませんよ、そんなものは。
で、今回Amazonが司馬さんの作品をKindleで読めるようにした。その第一弾として「竜馬がゆく」を選んだのは賢明です。一番人気のある作品ですから。これがきっかけで他の司馬さんの作品が電子書籍化されれば、もっと売れると思いますよ。何故ならば、僕らの世代で司馬さんが好きな人は沢山いるし、出来れば読みたいときに読みたいところをよみたいという欲求がある。しかも、一度買えば電子ブックのデーターはAmazonのクラウドに保存されているので、いつでも読めるし、なくさないというメリットもあります。
また、Kindle版は普通は書籍版よりも安くなることが多いのですが、こちらは価格が変わらない。文藝春秋も強気なのは司馬ブランドが高いということの現れだと思います。さすがという感じです。
僕は先日友人にKindleをプレゼントしたのですが、ちょっと自分にも買おうかなと思案中です。